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vol.01 郡上本染 渡辺染物店 -430年繋いできた技と眼差し-

  • 2018年5月27日
  • 読了時間: 3分

更新日:2018年7月25日


作業場にお邪魔すると、まず目につくのが8つの蓋のついた甕。

中を見せてもらうと藍色の水と泡ぶく。


真っ青に染まった指で、 甕の中身をかき回してくれる渡辺晋さん。




ある程度暖かくないとうまく染まらない

なので、冬の期間は鯉のぼりを作り、暖かくなって来た5月頃から藍染をスタートする。

昔は郡上八幡も町内ごとに神輿があり、春の祭りでは40を超える神輿が通りにひしめきあい、町内ごとに藍染の法被を作っていたという。

そんな神輿も今は数えるほどに減り、法被の注文も少なくなった。







今回は、冬の期間から始まる鯉のぼりの制作現場を見せていただいた。

いつも市役所沿いの大通りから、たくさんの鯉のぼりが泳いでいる庭が気になって仕方がなかった。そこが今回の訪問人、渡辺晋さんの作業場だ。


大学卒業後はアパレル企業に勤め、東京、中国に赴任したり。

しかし、いつかはこの仕事を継ぐのだ、とは漠然と考えていて、24の時に郡上へ戻って来た。自宅の下は作業場で、いつも親がそこで作業していたので、自然と子供の頃から手伝っていた。430年も続く染家。重要無形文化財に指定された現当主は14代庄吉さん。


作業は分業制。晋さんの作業場で生地の精錬から糊付け、染めまで行い、そこから立町の本家に持っていき、洗い、のりを落として、また戻ってくる。

次は布を切り、母親が鯉のぼりの形に仕立てて、本家で販売する。

全工程で3週間ほど。完全な家業である。






本日は4月2日。桜の満開の春先ではあるが、暑いくらいの陽気。

晋さんは、スピーディーに次から次へ色を塗る。

庭にいっぱい広げられた7つほどの布地に、まずは黄色、次は赤、青、最後に黒。

さらに2度塗りして色の濃淡を出していく。

暑すぎてもすぐに乾燥してよくないし、寒すぎても乾燥が遅くなってよくない。

天候と気温によって、豆汁(ごじる)の濃度を調整しながら、顔料に混ぜていく。

「勘やね」という言葉が納得するくらい、スムーズに次から次へ色の具合を見ながら調整していく。

その目は真剣そのもの。

自然な刷毛の目が、鯉の勢いを表す、、、


重要無形文化財、というとお値段が高いというイメージがあったが、

郡上本染で染められたいろんな年代の法被を比べて見てみると、

年数が経てばたつほど、色あせて、またその色合いが美しい。

戦前に作られたものが、今も現役で着ることができる。

長く時間が経つほどに熟成するかっこよさ。

それこそが、大事に次世代に伝えていきたいものではないだろうか。






「ただただ、自分の役割として繋いで行く。」

そう話す晋さんの目は、温かくも、静かで揺るぎない。

繋がれて来た技への敬意と使う方への愛情が感じられる・・・熟成された眼差しだと感じた。

◯郡上本染  渡辺染物店


◯インタビュー

絵:大坪千賀子

写真:スタジオ伝伝 川島なみ

文:スタジオ伝伝 藤沢百合


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